つくばエクスプレスはなぜ「速い」？ベテラン運転士さんにいろいろ聞いてみた！
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開業20周年！つくばエクスプレスの今
つくば市民の「足」が自動車ならば、つくばエクスプレスは「翼」といったところでしょうか。
「つくばから秋葉原まで最速45分」というキャッチフレーズで、2005年の開業以来、ファン（利用者）の数を着実に伸ばしていきました。つくばエクスプレス沿線の地域は発展を遂げ、つくば市、ひいては茨城県にとってはなくてはならない存在です。
しかし、私たちは通勤通学でつくばエクスプレスに乗ったことはあっても、「つくばエクスプレスがどれだけすごいのか」をイマイチ分かっていないのではないでしょうか。
みんな大好き、研究学園駅
というわけで今回は”私たちの希望の翼”、つくばエクスプレスについて理解を深めるために「研究学園駅」へとやってきました。つくば駅の1つ手前の駅で、近くにはつくば市役所があります。
“研究学園”とだけ聞くとサイエンスな印象を受けますが、自然が豊かでのどかな雰囲気も残る地域。駅前にも大きな公園が整備されています。
また、徒歩5分圏内には複合型ショッピングセンターである「イーアスつくば」がドンと構えています。約200店ものショップや文化施設、レストランが一堂に集まり、つくば市の情報発信基地としても活躍している施設。
車が運転できない地元の中学生、高校生にとっては、普段は「イーアスつくば」で遊び、背伸びをしたくなったら、つくばエクスプレスで「秋葉原」。これは激アツですよね！若者からお年寄りまで、みんなが集まる憩いの場となっております。
「研究学園駅は激アツ」と覚えていただければ幸いです。
そんな研究学園駅で待っていてくれたのが、つくばエクスプレスを運営する「首都圏新都市鉄道株式会社」の熊澤 伸明さん。運転士歴11年で現在は、つくば駅務管理所長を務めるベテランの駅長さんで、熊澤さんは2005年6月入社なので、つくばエクスプレスと共に歩んできた人物といっても過言ではありません。
我々、取材班がダメ元でインタビューをお願いすると、なぜかOKをしてくれました。
「つくばエクスプレスのこと、いろいろと知りたいんですけど……….」というふわっとした依頼だったのですが。
これは、またとないチャンス！ご厚意に甘えて”鉄道のキニナル”をいくつか質問させていただきます！
つくばエクスプレス開業20周年記念特別インタビュー
つくばエクスプレスはどうして速いの？
ーー秋葉原まで快速で45分とのことですが、これは、一般の電車と比べるとどれぐらい早いのですか？
つくばエクスプレスは、最高速度130km/hで走り、つくば→秋葉原間を快速で45分で結んでいます。
これは、通勤電車の中では早い部類に入ります。
ーー守谷駅あたりが特に速く感じます。
そうですね。守谷～つくば間はカーブが少なくてストレートな区間が多いので高速走行がしやすく、同区間の距離は20.6kmとなりますが、所要時間は快速で最速11分ほどです。
ーーつくばエクスプレスはどうしてそんなに速く走れるのでしょうか。
走行を安定させるため、レールには1メートルあたり60kgのものを使用しています。
ちなみにレールは継ぎ目のない「ロングレール」にしています。これによって衝撃が比較的少なく、揺れを軽減しているんです。最も長いロングレールは小貝川橋梁からつくば間の18.2kmとなります。
あとは、駅と駅の距離が長いので、トップスピードで走っている時間が長いんですよね。
ーー速いだけではなく、つくばエクスプレスはダイヤの乱れや遅延が少ない気がします。
全線が立体交差化で踏切がありません。また、全駅にホームドアを設置しホームからの転落防止、走行中の列車との接触防止を図っています。これによってお客様の手荷物などが電車のドアに挟まれるといったホーム上でのトラブルが少ないことが、遅延を減らしている要因かもしれません。
ーー欲をいえば「終電」を廃止して、1時間に1本でも良いので「24時間」電車を運行して欲しいのですが、無理でしょうか？
実は、つくばエクスプレスをはじめとした鉄道には線路や架線など施設や設備の保守点検や改修工事といった重要な夜間作業が毎晩あるんです。
そういった作業は電車が動いている時間はできず、「終電を見送ってから始発が動くまでのわずかな時間」にすべて行うため、終電を廃止することはできないんですよ。
運転士って大変？
ーーところで、そんな高速で走る電車を運転するのって難しくないのですか？ホームぴったりで停止をするとか。
つくばエクスプレスの場合は「ATO：自動列車運転装置」で加速・減速・停止を自動制御していますので、基本はボタン操作で出発させ、自動で停止する仕組みです。
もちろん、異常時や自動運転ができない時は手動で運転することになるので、日頃から手動運転の訓練を実施しています。ちなみに、手動でピッタリ停めるのはなかなか難しいですよ（笑）。誤差なく停止させないと車両やホームドアが開かないシステムになっています。ですから、訓練あってのものですね。
ーーなるほど。では、異常が全くないときなど、自動運転中は特に仕事がなかったり？
いえいえ、そんなことはありません。つくばエクスプレスはワンマン運転で、いわゆる車掌がいないので運転士（乗務員）が電車内の放送や、ドアの開閉まで全て一人で行っているんです。
それに加えて、異常時における緊急停止手配や事象対応等も行わなければいけませんので、緊張感が必要な業務です。自動走行中も常に異常がないか、周りを見ている必要があります。
ーーえ、ワンマン運転？トイレに行きたくなったらどうするのでしょうか？
実はその質問、意外とよくされるんですよ。
大前提として、休憩時間・交代制度が厳格に管理され、健康管理の一環として定期的に体調チェックを実施していますので、乗務員は急にトイレに行きたくなるようなことがないように心がけています。
……それでも人間ですから。どうしても我慢できない場合は、電車を止めてトイレに行くことが許可されています。また、万が一に備えて総合指令所がサポートしているんですよ。
ーー総合指令所というのはなんですか？
電車が安全かつ、なるべく時刻表どおりに運行できるように管理するための場所です。映画とかでもたまに取り上げられることがありますが、大きな路線図やたくさんのモニター映像を見ながら運行管理をしています。
トラブルで電車が時刻通りに発車できない、到着できない、といったときには素早く情報を共有し、状況を判断して的確な指令を各所に伝え、正常運行へと戻すための運転整理を行う重要な仕事です。
つくばエクスプレス沿線、周りの地域の変化について
ーー開業から20年。当初と現在で沿線沿いの地域は発展しましたか？
それは、言わずもがなですよね。本当に何にもなかったのに、今はもう、周りを見てください。
データによると沿線11市区の人口は2017年の231万人から248万人に増加。さらには、つくばエクスプレスの1日平均の乗車人員も開業当初の15万人から2024年は40万人に増加しているんですよ。
つくばエクスプレス沿線の駅は、それまで市街地化されていない場所にいきなり新しく出来たところが多いので、駅前でも大規模な開発がしやすく、利便性の良いまちづくりができたと思います。
ただし、つくば駅は元から研究機関が集まる都市でしたので、そういった変化は少ないですが、つくばエクスプレス開通によって東京に通う拠点。いわゆるベッドタウンとしての機能も持つようになりましたね。
ーー1日の利用者が40万人ってすごいですよね。そういえば、今日も秋葉原から乗ったときに電車が満員でした。車両を増やしたりしないんですか？
はい。おっしゃる通り、大人気なんです。なので車両を増やして欲しいというリクエストもたくさんあり、まさに今、6両編成から8両編成にするためにホームを延伸する工事をしているところです。
ただ、電車の車両を増やすためには駅の改装・改築も必要になるので、簡単ではない部分があります。
ーーつくばエクスプレスとしては路線の運営以外に、まちとのかかわりはありますか？
たとえば、企業・自治体との連携として、研究学園駅に駅ピアノを設置しました。研究学園駅周辺にお住いの方々と研究学園駅にお越しの方々の交流の場になることを願い設置しました。
そのほか、歓送迎会シーズンの金曜日や、「つくばマラソン」を開催するときなど、混雑する時期には臨時列車を増発するなど、周辺地域の方々を安全に目的地へ送り届けるための努力をしていますね。
ーー素晴らしいことですね。ちなみに、つくばエクスプレスができる前はどうやって東京まで行っていたのでしょうか。
つくばのバスターミナルから、土浦までバスで移動し、そこから鉄道に乗り継ぐ方式が一般的だったようです。また、つくば市と東京を結ぶ高速バス「つくば号」もありました。
でもね。今はつくばエクスプレスがあります！
まだ、つくばエクスプレスに乗ったことがないという方、一度乗ってみてください。速くて快適ですよ！
つくばと東京をつなぐ架け橋、つくばエクスプレス
のどかさも残るつくばと東京をつなぐ架け橋、つくばエクスプレス。表定速度は国内最速クラスのスピードで、今日も明日も大切な人たちを迎え、送り、運んでいます。
開業から20年という節目を迎え、これからますます発展していくことでしょう。
つくばエクスプレスと共に発展してきたつくば駅・研究学園駅周辺には世界最大級のプラネタリウムがある科学館「つくばエキスポセンター」や、宇宙やロケットについて学べる「JAXA 筑波宇宙センター」など、身近にサイエンスを感じることができる施設が充実しています。
さらには、筑波山に代表される自然や、緑豊かな公園がたくさんあり、こどもの遊び場、教育にも適している地域です。
「秋葉原から快速で45分」。都会の喧騒に疲れた方、つくば市に来たことがないという方はぜひ、つくばエクスプレスに乗って訪ねてみてくださいね！
つくばエクスプレスを利用するなら、お供にTXアプリ！
さて、今回の記事を読んでつくばエクスプレスへの興味が湧いてきましたよね？なんなら、すぐにでも乗車して、そのスピードを体感してみたいと考えているのではないでしょうか？
ちょっと待ってください！その乗車、「TXアプリ」をダウンロードしてからでも遅くありませんよ！
TXアプリなら「リアルタイムで分かる列車走行位置」でストレスなく乗りたい電車を待つことができます。乗り換え路線の案内もスムーズで、迷うことなく目的地へと辿り着けるんですね！
万が一の遅延情報や電車の正確な発車時刻なども一目瞭然。遅延証明書の取得も並ぶことなくアプリで発行と、日々忙しい学生・ビジネスパーソン・研究者にとって必須のアプリとなっております。
さらには、各駅の出口やトイレ、エレベーターの位置が分かる駅情報まで教えてくれる超親切設計のアプリで、普段つくばエクスプレスに乗らない人もインストールしておくと便利です。
もちろん、無料でダウンロード可能！ぜひ、この機会にTXアプリを使ってみてくださいね！
※掲載情報は、2025年10月時点のものです。